- 進化の歴史 - 『 3 』
≪10≫アニメ第1期終了、子供の価値観の変化・・・
 ■2001年1月・・・本来終了するはずだったアニメ(ゾイドクラシック)は、
残すキー局との契約期間半年で放送延長か、新シリーズ制作かを模索した結果、
新たなシリーズ(ゾイド新世紀スラッシュゼロ)を制作する事になりました。
同時にそれまでのゾイドのコンセプトを変える装甲の着せ替えとも言えるギミック、
「チェンジング・アーマー・システム」(通称CAS)を搭載した新主役ゾイド、
「ライガーゼロ」を発売、売り切れ続出となり、アニメと共に大人気となります。
3月には待望のシュナイダーユニットが発売、続く4月にはイエーガーが、
そして6月にはパンツァーユニットが発売、いずれもヒット商品となります。
また完成品のアクショントイとして「可動王」シリーズも発売。キット同様
チェンジングアーマーが買ってすぐ楽しめ、こちらも好評を博しました。
CASゾイド、ライガーゼロ
砲撃能力に特化した
パンツァーユニット
 ■2001年6月・・・CASゾイド第2弾として「バーサークフューラー」が
イベントで先行販売。同時にSSゾイドシリーズでカマキリ型の「ディマンティス」
ザリガニ型の「マッカーチス」も先行販売、バーサークフューラーと共にアニメにも登場、
新シリーズのSSゾイドは、動力搭載からくるモチーフの制限を無くした
TFゾイド以来の動力無しゾイドで「リアルに歩行」が売りのゾイドに再び変化が現れます。
アニメは人気絶頂のまま契約期間が終了したので、予定通り2クールで終了してしまい、
続編制作も不明のまま展開終了。再アニメ化の話も諸事情で立ち消えてしまいました。
バーサークフューラーと
無動力のSSゾイド
余談:既に他会社が放送枠を確保していたため、同時間帯でのこれ以上の延長は限界でした。
時を同じくして他の玩具メーカーのオリジナル商品が大ヒットとなり、
カードゲームブームと合わせて子供達の人気は対戦玩具へとシフト。
ゾイドにとって不利な状況が積み重なっていきます。
コロコロでは今の子供達のニーズに合わなくなったと、クラシックベースで
そのまま話が進んでいた漫画連載が打ち切り。アニメの影響が強すぎたのか、
雑誌等を読まず、情報収集に熱心ではない一部の子供達からは、
ゾイドはすでに終わったシリーズとして認識されるようになっていきます。
雑誌関連では好評だったファンブックが2巻3巻と続き、同じゾイドながらも
アニメと違ったストーリー展開で、こちらは人気のシリーズとなっていきました。
アニメにも登場したゾイドを搭載できる
巨大母艦型ゾイド、ホエールキング
ミニチュアゾイドはベンダー自販機や
ゲームのコマとしてもリリースされ、
長年続く人気シリーズとなりました。
余談:スラッシュゼロはその後、アメリカで放映され大人気作品となり、
世界観を踏襲した新作アニメがアメリカ先行で製作される事となります。
これが後のフューザーズですが、国内は諸事情により放送が遅れました。
 ■2001年10月・・・箱の耳部分に値段分ついていたZポイントを使用した
初のプレゼント企画、「Zポイントキャンペーン」が開始。一定数でクリア成型の
「モルガ」「レッドホーン」「デスザウラー」のどれかが当たると言うもので、
第1弾が帝国ゾイド3種だった事から次は共和国ゾイドだろうと噂されましたが、
第2回のキャンペーンは4年後と言うファンも予想だにしない事態となりました。
 ■2001年々末・・・プロモビデオとして高密度CGのゾイドが動くムービーが作られ、
店頭やイベントで上映、このCGを利用したテレビCMも放映、ファンの間で話題を呼びます。
模型関連の雑誌やホビー誌でも次第に取り上げられるようになり、ゾイドは幅広い世代で
根強い人気のあるコンテンツとして、ヘビーユーザーに徐々に認識されるようになっていきます。
Zポイントキャンペーンの景品
クリア成型のデスザウラー
≪11≫新たな可能性、ゾイドリセット・・・
 ■2002年6月・・・「ゾイドリセット」と言うキーワードと共に新シリーズがスタート。
無動力ながらもカスタマイズするという楽しさを最大限に昇華した革命的なゾイド、
「BLOX」(ブロックス)シリーズの誕生です。本体を構成するブロックパーツに四肢や装甲、
武器を自在に組み合わせる事ができ、低価格で拡張性抜群のBLOXはヒット商品となります。
平行して通常のゾイドは設定と共に停滞し、動力ゾイドは2月に発売された
「ダークスパイナー」から半年以上も新作が出ない状態が続きます。
ヒット商品となったBLOXは世界観の設定無しに独自展開が続きました。
「ゾイドリセット」とはこのBLOXを主力とした新たな展開の事だったのです。
7月には初期4体の敵側であるキメラBLOX4種が発売。キメラとは
2種類以上の生物の合成獣で、禍々しい外見持ち異彩を放ちました。
10月には要望の多かった合体例の1つだったマトリクスドラゴン、
12月にはキメラ4種の合体例であるキメラドラゴンがセット品で発売。
BLOXは順調に商品点数を増やしながらも、バトストを基準とした
従来路線復帰を望むファンは根強く、賛否両論の激しい商品となります。
BLOXシリーズ第1弾
BZ-001レオブレイズ
各パーツとジョイントで
様々な形態に組み変わる
4体のBLOXが合体
マトリクスドラゴン
余談:それまで共和国側は「RZ」帝国側は「EZ」で統一されていた型式番号も
BLOXでは「BZ-00〜」と、陣営を区別しない通し番号になりました。
 ■2002年8月・・・ゲームの分野では初のゲームキューブ用ソフト
「ZOIDS VS」が発売。ポリゴンを使用した待望の3Dアクションゲームで、
歴代の様々なゾイドをリアルに操って戦う事ができ、対戦要素と共に大好評、
以後続編が出る度に新要素と最新ゾイドが加わり、人気シリーズとなります。
このゲームにて待望の新型巨大電動ゾイド「ゴジュラスギガ」がキット発売に先駆け登場。
キットは9月に正式販売され、ギガノトサウルスをモチーフとし、姿勢変更と連動した
音声&発光ギミック等圧倒的な迫力を誇り、新世代で最も巨大なゾイドとなります。
ゴジュラスギガから通常ゾイドとBLOXとの正式な連動が図られ、
11月にはパワーアップゾイドとして初の大型BLOX「バスターイーグル」が発売。
通常ゾイドとBLOXの連動が設定上でも明確に示されるようになりました。
ギミック満載の
ゴジュラスギガ
ゲームに登場する
バスターイーグルの
単体組み換え例
グリフォン
また9月14日には小売店の支援対策として、流通限定販売企画のハピネットJPから
妄想戦記シリーズ限定ゾイド「ゴジュラスマリナー」「モルガロクロウカスタム」が発売。
問屋限定流通ながらもパッケージにはゼブル以来のかぶせ箱形式を採用し、
ボックスアートに起用された開田氏の迫力あるイラストにも注目が集まりました。
余談:妄想戦記はトミーの公式ホームページでWEBコミックが公開され、
連動して登場ゾイドを限定発売すると言う企画。計14種類のゾイドが発売されました。
これとは別にメーカーがそれぞれ代表する商品を特別バージョンで
限定販売する企画が立ち上がり、トミーからはゾイドが選ばれ、
9月27日に500円分のトイカードを同梱した特別カラーの
トイカード限定商品「ブラッディデスザウラー」が発売。
ハピネット限定ゾイド
モルガロクロウカスタム
以後コンセプトを変えながら、ハピネットとトイカード発の限定ゾイド販売が続きます、
翌年にはネットショップをはじめ、トイ専門店のトイザらス、ハローマック、
スーパー大手のイオン系列、セブン&アイ系列で限定ゾイドが次々に販売、
通常販売品に匹敵する数の限定ゾイドが出回り、販売形態でも大きな変化が起こります。
トイカード限定ゾイド
ブラッディデスザウラー
余談:トイザらスやハローマック等では限定グッズのキャンペーンも展開され
商品購入で特製ピンズやステッカー等を配布。以降定期的に行われるようになります。
≪12≫生誕20周年、原点回帰・・・
■2003年・・・この年でゾイドは生誕20周年を向かえ、記念として様々な企画が進行します。
まず、通常シリーズの復活と、BLOXとの設定の融合。
BLOXと合体できるゾイドとして、旧ゾイドのシュトルヒが復活。
同時発売のキメラBLOX、ディアントラーのパーツを装着し、
シュトルヒアントラーにパワーアップさせる事ができました。
ここから通常ゾイド+支援BLOX同時発売というパターンが定着、
BLOXと互換性を持つ様々なゾイドが発売されていきます。
6月には遂にラジオコントロールできるゾイド、
「ディアブロタイガー」「サイクロプス」の2種が発売。
この2種はゲームと連動、GBA本体をコントローラに、
更なる性能を引き出す事ができるゲームソフト
「サイバードライブゾイド、機獣の戦士ヒュウ」も発売。
シュトルヒとキメラBLOX
ディアントラーが融合した
シュトルヒアントラー
このラジコンゾイドは対戦要素を持ち、体当たりやBB弾発射で
ウィークポイントにダメージを与えると体力が減っていき、
体力ゼロでコントロール不能になる等、趣向を凝らしていました。
サイバードライブゾイド
ディアブロタイガーとサイクロプス
しかし肝心のコントロール方法やBB弾発射機能の精度があまり良くなく、
1体5980円と他の対戦玩具に比べあまりにも高額で、
未来から来たと言う奇抜な設定と他のゾイドとは異なる独特のデザインも相まって、
ファンの間に浸透せず、初期2種のみでシリーズ展開する事はありませんでした。
余談:7月に発売されたゲームソフトは特製カラーの限定ゾイド、
「ディアブロタイガーβ」同梱版が9800円とゾイドゲームでは最高額
 ■この年の7月、ゾイド生誕20周年記念の目玉として「大ゾイド博」が開催。
全長12mの実物大モルガ展示や、様々な限定ゾイドと開催記念アイテムを販売。
そしてアメリカで先行放映されていた新作アニメのプロモ映像も公開されました。
この時、支援BLOXと共に先行発売されたのが、
20周年記念ゾイドの「セイスモサウルス」、
これは当時、史上最長として骨格標本が作られ
話題になった同名の竜脚類がモチーフで、
奇しくもウルトラザウルスと同じ境遇の、
フラッグシップ的商品として注目を集めました。
キットも全長40センチと、それまでのゾイドを
超える長大さで、リード線を内蔵し、歩行に合わせ
大きく可動する尻尾や、通称ゼネバス砲と呼ばれる
超収束荷電粒子砲等、ギミックや設定面でも
ファンの間で大きな話題となりました。
大迫力の1分の1モルガ
画像はC3会場にて
史上最長ゾイド、セイスモサウルスと
メインとなった大ゾイド博の半券
余談:1分の1モルガはその後、C3会場でも展示、更にその後、トイザらスお台場店で
前半分だけ展示されました。現在は栃木県壬生町のおもちゃ博物館の敷地内に展示され、
無料で見学でき、モルガ内部に入ることも出来ます。(要展示情報確認)
9月には旧時代の帝国側24ゾイドが設定を変え、スケール設定を20分の1に改めた
「装甲動物戦記パンツァーティーア」シリーズとしてWAVEから模型流通で販売。
翌年には共和国側24ゾイド2種もトイカード企画で限定販売され、
電撃ホビーマガジンには史上初の付録ゾイド「ブリッツホーネット」が同梱される等、
アニメを放送していないにもかかわらず、リリース点数は大幅に増大していきます。
おもちゃ博物館の1分の1モルガ
2012年にはゼネバスカラーに
リペイントされイベントで展示
 ■そして10月24日・・・ファン待望の旧時代の書籍、ゾイドバトルストーリー5冊が、
バトルビデオDVDや様々なアイテムと共に「ゾイドコアボックス」として書籍流通で限定販売。
15000円と高額でしたが、西方大陸戦争終結までを描いたファンブック特別版や、
本来第2回Zポイントキャンペーンの景品として企画されていた、設定的なゾイドの歴史を
記したゾイドバイブル、旧時代の3大国家エンブレムピンバッジ、ゾイドマンモス復刻版等
豪華な内容で、この商品により、旧時代のバトストは新しいファンにも知れ渡るようになりました。
余談:特別版のファンブックは、後にファンブック4として再編集され正式販売されました。
ゾイドコアボックス同梱
復刻版ゾイドマンモス
≪13≫バトスト終了、再びアニメ化へ・・・
 ■2004年2月・・・BLOX「ジェットファルコン」にて
長年続いてきた共和国軍と帝国軍の覇権争い、
いわゆる戦記モノ設定の、バトルストーリーが終了。
代わって「3匹の虎伝説」と銘打ち、
バトストから100年後の東方大陸を舞台に
伝説の虎型ゾイドをめぐり巨大企業同士が争う
新たなストーリーが始まりました。
このシリーズは後の展開への橋渡しとして
短い期間で終了します。
伝説の核を持つ3匹の虎、左から
ワイツタイガー、レイズタイガー
そしてブラストルタイガーが
それぞれの支援BLOXと合体した姿
ライガーゼロのCASとなる
BLOXジェットファルコン
余談:レイズタイガーとブラストルタイガーには史上初の特製DVDが付属。
ムービーや解説映像が収録され、映像面から設定の保管に役立ちました。
バトスト終了と同じ時期に、ゾイドは旧時代に果たしえなかったアーケード業界へ進出。
インベーダーでおなじみの老舗ゲームメーカー、タイトーと業務提携し、
大型筐体と通信システムを使ったアクションゲーム「ゾイドインフィニティ」が誕生。
ツインスティックでゾイドを操る3D対戦アクションゲームで
この年初頭に行われたロケテストでゲーム業界でも大いに話題になり、
発売直後にはプレイ待ちの行列ができるほどの人気となりました。
以後バージョンアップを繰り返し、新たなファン層の獲得に貢献しました。
余談:タイトーはこれを機にプライズでもゾイド商品を展開
ゾイドのミニフィギュアやキャラクターグッズ等がリリースされました。
アーケードゲームマシン
ゾイドインフィニティのパンフ
 ■9月30日・・・新作アニメに合わせ、新たに「FZ」ナンバーを与えられたゾイド、
全11種がリニューアル発売。バトストは完全に消滅、通常ゾイドとBLOXの区別もなくなり、
すべてのゾイドがFZ(フューザーズゾイド)の統一ナンバーになりました。
主役ゾイドのライガーゼロフェニックスは、初の通常ゾイドとBLOXとの
セットで販売。先行販売されていた海外版とはフェニックスの成型色が違い、
主人公RDの72分の1フィギュアも付属。バーサークフューラーと
バスターイーグルのユニゾン(合体)ゾイド、バスターフューラーには
主人公のライバルであるブレードのフィギュアが付属しました。
そして10月3日・・・海外で放送されていたフューザーズが、
国内放送用に調整されていよいよ放送開始。ミサイルトータスに
グラビティウルフ、レイコング等、国内未発売だったキットも
アニメに合わせて発売され、既存のリニューアルゾイドにも、
ユニゾン用新規パーツが追加される等工夫が凝らされていました。
フューザーズの主人公機
ライガーゼロフェニックス
ライバルのユニゾンゾイド
バスターフューラー
海外主体で制作されたフューザーズは海外の都合に合わせて2クールで終了。
国内ではリリースされない商品も存在し、実質アニメゾイドオンリーになったため、
ファンの間ではゾイドの未来に対する漠然とした不安が消える事はありませんでした。
余談:キットやその他の商品の販売実績は好評で、この流れを受け、
販売店も様々なキャンペーンを展開し、ゾイドに力を入れるようになります。